2011年07月12日
川本 裕子 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | 経歴はこちら>> |
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7月8日、スペースシャトル「アトランティス」は成功裏に打ち上げられ、シャトル計画の最後を飾った。1981年以来、135回の打ち上げを数えるシャトル計画は、月面に人を送ったアポロ計画に続く、米国有人宇宙プログラムの中核だった。その終了は一時代を画する出来事として内外のメディアでも様々に取り上げられているが、単に宇宙開発の問題を超える内容があると思われる。
シャトルは再利用可能で何度も打ち上げられる、SFではお馴染みとなった「宇宙船」のコンセプトを現実化するものだった。しかし、当初の目論見とは異なり、打ち上げコストはNASA試算では4.5億ドル、他の専門家によれば15億ドルと試算され、毎回莫大なものとなった。ロシアの有人ロケットの打ち上げコストはNASA試算コストの4分の1ということだ。
コスト、安全性で分かれる評価
シャトルは過去30年で2回、人命を失う痛ましい事故が起きた。実験的要素の強い宇宙開発プログラムの安全記録として総体として悪くはないという評価もある一方で、もともとシャトルは実験目的ではなく、日常的な宇宙と地球の間の交通を目的として計画されたものなのだから安全性で問題があれば致命的だという反論もある。
日本も宇宙開発、とりわけ有人宇宙計画には多額の国家予算を、毎年投入しており、シャトル計画終了の意義をどう評価するかは他人事ではない。この問題を考える上で注目すべき視点は大きく二つある。
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