2011年06月17日
川本 裕子 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | 経歴はこちら>> |
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そういえば、日本と韓国は、例えばドイツ語やオランダ語を母国語とする人たちに比べて、その言語体系が英語から遠く、英語の習熟などに平均的に時間がかかると言われている。しかし、韓国では、1997年のアジア危機以降、急速に英語能力が上がってきた。IMF管理下に入るなどの試練を経た努力を積み重ねていることが格差を広げているのではないか。逆に言えば日本の国際化努力は怠惰の結果といえないか。
日本は大震災以来、原発事故をきっかけに海外からの見え方や情報開示の大切さがかつてないほど増していることは、このコラムでも書いた。一方で、日本の国際的な事柄への理解と言えば、新聞の国際面が30数ページの紙面のうちの2‐3面に過ぎないことからもわかるように、極めて心許ない。
大学院の講義では国際経済や国際金融を扱っている関係上、G8など国際的な声明や国際機関の規制動向、調査結果などを資料としてよく使うが、日本国内の報道振りと海外メディアの論調が大きく異なり、学生とともに驚くことが時々ある。どの国でもホームバイアスはあるのかもしれないが、それにしても自国中心的な語り方は少なくないと思う。これも、読者が英語など外国語媒体を読まないことを前提としているからではないだろうか。日本語環境に閉じこもっていると、視野がどうしても狭くなるのが心配だ。
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